たるみ・顔の輪郭

たるみ・顔の輪郭

「たるみ」とは皮膚が余っているために重力に従って垂れ下がった状態を言うのですが、その原因は2つあります。
1つは老化現象によって皮膚が伸びきったために生じるものと、もう1つは肥満状態から急激に痩せたために皮膚が縮みきれずにだぶついた状態によって生じるものです。
この「たるみ」は、身体のあらゆるところに生じるものです。

以下、部位によるたるみの修正方法を説明します。

たるみの生じる部位
1.上まぶたのたるみ 2.下まぶたのたるみ 3.顔のたるみ
4.首のたるみ 5.二の腕(上腕) 6.乳房のたるみ
7.腹部のたるみ 8.お尻 9.内股

1.上まぶたのたるみ

上まぶたの皮膚はやわらかく薄く、しかもよく動くためたるみが最も来やすいのですが、 視野が次第に狭くなってくるので無意識の内に眉毛を挙上することでカバーしようとするため、額のシワが深くなってしまいます。

さらにひどくなると、目を開けたつもりでもまぶたが上からかぶってしまうため、前が見えなくなるところまで進む人もあります。
目を閉じるのに必要なだけの皮膚を残して余った皮膚を切除すれば良いのですが、切開・縫合する位置を決めるのが重要なポイントになります。
(上眼瞼シワ取り術)

【目・二重まぶた】のところをご覧ください。 詳細はこちら

2.下まぶたのたるみ

体質にもよりますが、上まぶたよりもたるみが目立つ人もあります。

まつ毛のすぐ下のところで切開してたるんだ皮膚と筋肉を引き上げて張りを持たせるのが下眼瞼シワ取り術です。
しかしいろんな事情でメスを使う手術を受けることが出来ない人には、たるんだ皮膚の下の凹んだ溝の部分を脂肪注入術によって持ち上げて、たるみを目立たなくする方法がおすすめです。

【目・二重まぶた】のところをご覧ください。 詳細はこちら

3.顔のたるみ

加齢によって顔全体の皮膚がたるみます。
その変化は顔の輪郭の変形として現れます。
また目じりが垂れ下がり法令線が深くなります。顔の輪郭は四角形に近づき、ブルドッグ型になります。
その状態に対しては再びリストアップすることで、以前の輪郭に戻す手術があります(フェイスリフト手術)

4.首のたるみ

この部分は最も手術がしにくいところです。
手術の傷あとを目立たせないようにするのが困難だからです。

耳の後ろや襟足の方で、余った皮膚を切除するしかないのです(頚部シワ取り手術:ネックリフト)
首には数は少ないけれども深いシワが出るものですが、そのシワにヒアルロン酸注射や脂肪注入術をすることで老化現象を目立たなくすることができます。

5.二の腕(上腕)

この部分は特に女性にとっては確実に年齢とともに「のれん」のようなたるみの出るところです。
若い時に脂肪がついている人であればあるほどたるみは多いです。
この部分のたるみを気にする人には、皮膚を切除する切開式除脂術を勧めます。
また若い時に(35才位までに)脂肪吸引術をしておくと中年になってもこのたるみは出来にくいです。

6.乳房のたるみ

【バスト】のところをご覧ください。 詳細はこちら

7.腹部のたるみ

お腹の皮膚がたるんでしまった場合は切除するしかありません。
皮下脂肪と一緒にたるんで余分な皮膚を切除する手術で、それを「切開式除脂術」といいます。

脂肪吸引術が行われていなかった時代(15年程前まで)は、この手術が普通に行われていたのですが脂肪吸引術が発達すると、 この手術はあまり行われなくなり、皮膚のたるみがひどく出ていてそれを気にする人にだけ行う手術となってしまいました。

40歳を過ぎてから脂肪吸引術を行うとたるみが残りやすいため、それを気にする人はこのような手術を行うこともあります。

8.お尻

お尻のたるみを取るには、3つの方法があります。

  1. 軽度のたるみでお尻の外側にたるみが出て、後から見ると四角いお尻に近づきつつあると感じた場合は、早い目にその部分の脂肪吸引をしておくことをお勧めします。
    年齢が若ければ若いほど(30才前半まで)皮膚の回復能力があるため、結果は良好です。しかし、たくさん吸引しすぎると皮膚にたるみやシワが出ることがあります。

  2. 他の部位で脂肪吸引術をした脂肪を、お尻の上半部に注入することによってヒップアップ状態にするという方法(脂肪注入術)です。
    元々垂れ尻ということに悩みを持っている人にはやってみる価値はありますが、注入した脂肪はこの部分では50%程度しか生着しませんので、あまり過大な期待はできません。
    「脂肪吸引した脂肪を捨てるのなら、少しでも再利用を…」という考えの方向きです。

  3. 皮膚ごと大きく垂れている状態の人には切開式除脂術を行います。
    垂れた部分を皮膚と皮下脂肪をまとめて取り除く方法です。
    水着で隠れる場所に縫合線の傷あとができるのですが、やはり縫い跡が残るのが最大の欠点です。

9.内股

内股のたるみは主に皮膚のたるみから来るものですから、皮膚を取り除いて張りを持たせるようにするしかありません(切開式除脂術)
縫合線は内股のつけ根のところに来るようにしますので比較的目立ちません。内股の脂肪吸引術を行うと、たるみが目立ってくる可能性があります。

顔の輪郭形成術
1.こめかみ形成術 2.頬骨削り手術 3.頤(おとがい)形成術
4.エラ削り手術 5.フェイスリフト手術  

1.こめかみ形成術

これは加齢によって生じたこめかみの陥凹をふくらませて、若い時の輪郭を取り戻す手術です。
(ほほ骨が横に張り出している多くの女性は、ほほ骨にばかり注目して、こめかみがへこんで来たことに気が付かないことが多いのです。)
方法は2つあります。

  1. シリコンの板状のもの(裁縫に使うチャコのような形)をこめかみ部位の筋膜下に埋入する方法。
    シリコンを埋め込む方法は、髪の中を2~3cm切開して側頭筋膜下に埋め込みます。(手術は30分位)この方法は一回で目的を達成出来ます。

  2. 脂肪注入を3~4回繰り返す方法。
    シリコンのような異物を使うことを極端に嫌う人には、脂肪注射という方法があります。この部位の脂肪生着率は低く、25~30%ですから3~4回の注入が必要です。

2.頬骨削り手術

輪郭を整える方法として、出来るだけ顔を小さくしたい願望が強い人には、張り出した頬骨を削るという方法をとります。
口の中から頬骨まで骨膜を剥離しながら到達して骨の突出部を削ります。局所麻酔で無痛状態にして手術が可能です。
但しこの手術は術後の腫れがひくのに時間がかかります。
3週間で80%位ひきますが残りは2ヶ月位かけてゆっくりひいて行きます。
『小顔』の女性がもてはやされる時代です。本格的な小顔を目指す人は、さらに顔の横幅を狭くする手術がありますが、これは専門の美容外科的技術が必要です。
(現在、当院ではここまでの手術は行っておりませんので、専門のクリニックを紹介いたします。)

3.頤(おとがい)形成術

「おとがい」とは下あごの中央部分のことです。未発育であるおとがいを前方に出す手術と逆に出すぎたおとがいを削り落とす手術があります。
前者はaugmentation mentoplastyと言い後者は reduction mentoplasty といいます。
前者の手術には(1)骨切り(水平方向)をして前方にスライドする方法(2)シリコンプロテーゼによって前方におとがいを出す方法(3)脂肪注入法で行う方法の3つがあります。

骨切り法:骨が下方に十分な長さがある場合にのみ行います。

口の中を切開(2cm)して適当な厚さのシリコンを埋め込みます。異物を入れますが異物感はありません。

異物を使わずに簡単な方法で行いたいという人にはこの脂肪注入がお勧めですが、脂肪の生着率が低いため、3~4回の脂肪注入を2ヵ月おきぐらいに行います。
時間的に20分位で終わることとメスを使わずに注射だけですむというところが希望者の多いところです。

4.フェイスリフト手術

(この手術は当院ではミニリフトを含め年間100例位行っています。)
年をとるにつれて顔の皮膚や筋肉がゆるみ、それに地球の引力が加わって次第次第に顔の輪郭は変形して行きます。
私達は誰でも人の年令を「○○才くらい」というように判断する目を持っていますが、その判断の基準に「顔の輪郭の変形度」という定規を持っていることに気付いていません。
当院ではそのことに着目し、フェイスリフト手術が、実は若返り手術の最たるものであることを確信し、実行しています。
整形手術というよりも、要するに5年、10年前の顔の輪郭を取り戻す手術なのです。手術の部位もバラエティに富んでいます。気になるところを中心に、修正手術するからです。

当院のフェイスリフト手術は、患者さまが修正したいと思われる部位のリフトアップを中心に行います。
基本的には、皮下のSMAS(皮下の浅層の筋膜)を引き締め、さらに余った皮膚を切り取って、皮膚に張りを持たせて、若々しい輪郭を取り戻す手術です。